ここにある庚申塔のほとんどが嘉永7年(1854)から文久元年(1861)の間に建立されている。庚申(かのえさる、こうしん)は干支の一つ。道教では人の頭と腹と足に三尸(さんし)の虫がいて、常にその人の悪事を監視しているとする。庚申の夜には天に登り日頃の行いを天帝に報告するが、罪状によっては寿命が縮められてしまうのである。そこでこの夜は村中の人が集り神々を祀り、三尸の虫が体から出られないよう、酒盛りなどをして寝ずに夜を明かした。昔は遠く他郡にまで多くの信者がいて、庚申の日や、悪疫の流行などの大事が起こった時には村中こぞって念仏を唱え、ひたすら庚申様にすがったという。